前回の「その1」に続いて、チェンマイ補習校での講話会についてである。補習校の荒井教子先生が書いてくださった報告を、先生の許可を得て、こちらに掲載させていただくことにした。この報告は、チェンマイ日本人会の会報誌『火焔樹(かえんじゅ)』のために書かれたものであるが、荒井先生の視点からの様子が伝わってくる。
「講話会『子ども期の言語習得とアイデンティティ形成』報告」
日本学術研究振興会から研究助成を受け「越境する日本人国際結婚家庭の教育意識:アジア五か国でのライフストーリーから」をタイ・チェンマイで研究調査されている横浜市立大学の藤田ラウンド幸世(教育学博士)先生による講話会が2月11日チェンマイ日本人補習授業校の大会議室にて行われました。藤田ラウンド先生ご自身も国際結婚、バイリンガル子育ての経験者のため、子育てをしている誰もが心配になる海外で子育てをする時に必要になる子どもの言語習得やアイデンティティ形成を自らのご経験や調査結果を踏まえた内容で参加者に分かりやすくお話いただきました。講話会の内容は、子どもの言語発達の年齢に即した習得段階を軸に、生まれてから二言語を同時に学ぶバイリンガルの場合はどのような育ちになるのか等でした。参加者の「真剣な聞く視線」と藤田ラウンド先生の「多くの事を伝授したい気持ち」が会場内で合致し、終了予定時刻をオーバーしてしまうほど興味深いお話を聞くことができました。講話会は午前中に開催されたため授業で参加ができなかった講師のために勉強会を放課後行いました。この勉強会は、講師が対象だったため二重国籍の子ども達や海外で2言語を習得している子ども達へどのような指導のアプローチをしたらよいかという教育的な内容も含めたお話をしていただきました。参加した講師達も藤田ラウンド先生から新しい知識を学び、そしてこれまでの指導実践への自信を再確認する良い機会となりました。藤田ラウンド幸世先生、子育てをしている親や教育現場に携わる講師にとって大変貴重な参考になるお話をありがとうございました。
藤田ラウンド幸世先生が、ここ10年宮古島で消滅危機言語と日本語のバイリンガル教育に関する研究成果をこちらhttps://fujitaround.com/で確認することができます。また、今回のテーマである国際結婚家庭のバイリンガル教育戦略に関わる科研費研究のウェブサイトはこちらhttps://www.intermarriage.asia/です。ここには藤田ラウンド先生の研究者ブログと科研研究成果として論文や漫画が掲載されています。