台湾在住の日台国際結婚家庭における言語と学校教育に関する事例研究
- 学会名:The 8th JSA-ASEAN Conference 2023 / The Japan-ASEAN Scholar Summit 2023 / 50th Anniversary of Japan-ASEAN Relations
- 主催:Japanese Studies Association Southeast Asia
- 日時:2023年12月21日
要旨
本研究では、台湾北部在住の日台国際結婚家庭の10名の日本人父親(台湾の学校7名、日本人学校3名)を対象に、学校選択ともう一つの親の言語教育に焦点を当てた調査を通して、子どもの教育に対する日本人父親の参与の実態を明らかにすることを目的としている。
調査の結果、対象者たちの生活および経済的基盤は台湾にあり、日本に帰国する具体的な予定はない。そうした中で、学校選択の際には、日本語と中国語の2言語を習得できることを重視していた。その選択の過程では夫婦の言語能力と仕事を含めた生活スタイルが考慮されており、学校言語ではない方の親の言語は、家庭や日本語補習校などで、読み書きを含めた勉強を子どもにさせている。子どもが台湾の学校に行っている場合は、日本語教育は父親の役割であるが、それは対象者にとっては、子どもとの貴重なコミュニケーションの時間にもなっている。
対象者である日本人父は全員が中国語をはじめとする外国語を高度なレベルで習得し、日本国外で高等教育を受けたり仕事をしたりする経験を有していることもこうした結果を導く要因でもあると考えられる。 今後はより幅広い対象者に対して調査を行い、多様な実態を探っていきたいと考える。
服部美貴